ああいえばこう

 

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2日目、最初は金閣寺

 

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いいスポットで写真を撮るのはなかなかに難しい。10時くらいだけどなかなか人も多かった。

 

どうやら京都観光の1番の目玉らしい。外国人観光客の数も段違い。時折見る修学旅行生。

「めっちゃでかい!」と驚く高校生。金色のところに触れろよ。

 

首里城のニュースを見ると、どうしても金閣寺を思い出してしまう。美しいものはその状態を永遠に保持することはより不可能になる。女性と一緒らしい。

自らの中で金閣の過去と未来の全てを見知った気になって、全てを取り込んだ気になって燃やしてしまった青年僧のことを思う。曖昧な「美しさ」なんてものを全て知った気になるなんてまだまだ早いよな。変わっていく美しさもあると思う。女性と一緒で。

 

あとは何より世界遺産が破壊されることに、大きな悲しさを覚える。伝統を守っていくことに大事なのは一人一人の考え方だけなのだから。

 

街の小学生が金閣寺に訪れた外国人観光客に対して英語でインタビューしていた。片言の英語に対し、外国人は皆、にこやかに答えていた。これも伝統を守る役割の一つなのかな、と思い僕も彼らを微笑ましい目で見ていた。ただ1人なので、それは小学生を見てニヤつく不審者だった。

 

 

そのあとは宿から一番近かった西本願寺とそのそばの東本願寺に行った。

ここではレアなものを目撃した。

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(この写真、西なのか東なのかわからん)

 

ここに着くまでの約1日半で既にフルマラソン級に歩いてる僕は流石にガス欠。ここで2時間くらい過ごした気がする。

ぼーっと御神体を見ているとスーツを着た男性が5.6人と住職が2人ほど歩いてきた。

そしてお賽銭を取り出し始めた。

あれって下の方に鍵がついてるんだね。結構古風な扉だった。なんか布みたいなものを下に敷いて、そこにお賽銭を全て落とす的なやり方だった。こういうのってあんまり見ちゃいけないところだと思ったし、1ヶ月前の記憶なんでだいぶあやふや。

 

畳の上で何も考えずに座り続けていると、色んなことが浮かんでは消えていく。特に浮世のことは。だけど、一つスパイスを加えて面白くするだけで、僕の妄想はどこまでも遠くに飛んでいったような気がした。そして人生もそんなもんなのかなぁかなんて思ったのがだらだらと過ごしていた上での結論だったような気がする。

 

 

本来はここから鴨川でだらだらする予定だっただけど、雨が降ったせいで行けなかった。

僕は一生に一度でいいから、鴨川の河川敷で彼女に膝枕をしてもらいたい。そして、彼女に朗読してもらいながら微睡みたい。読んでもらう本は何が良いかな。何かいい案ください。

 

 

このあとは僕の本来の目的であったライブ。

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磔磔」と書いて「はりはり」と読む、古民家を改造したような小さなライブハウス。中もさまざまな往年のミュージシャンのポスターやシールが壁を覆うように貼られていた。

ライブの話は気が向いたらまた書こう。語りすぎると良くないから。

ただ、折坂悠太というアーティストが、素晴らしい人間性を持っていること、それに相反するように歌わなければ生きていけない人間のような、強さと脆さを併せ持つ存在であることがすごく分かった。

ゲストのbutajiさんも、MCの途中で話していたバイセクシャルであるということを、自らの一つの個性としていて、人間性を通して曲を聴くことによって、それまで以上に伝えられる言葉を持っていることに、アーティストの素晴らしさを感じた。

とことん冷たいところを知っている人が紡ぐ、温かい言葉の強さを感じる素晴らしいライブだったな、と。

 

ライブ前から降っていた雨も、いつしか止んでいた。帰るまでは時間があったから、目的地に行くまでにもう少し散歩をしようと思った。行き先はもちろん鴨川。

その途中、こんなものを目にした。

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僕はアイドルオタクだが、それと同等に豆知識好きなので「あ、軍医もやっていた小説家、森鴎外の作品じゃん」となった。軍医は出てくる、仕方ない。

この川はどこから流れ、どこに繋がってるのか気になった。地図の話じゃないんだよ。ハイコンテクストでごめんね。日本人だからさ。

 

そして鴨川に到着。

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驚くことにカップルが1組もいなかった。キスでもしてれば僕はもう絶命してたから助かった。でも面白くないなとも思った。カップルは毎週一回はキスしろ。限られた愛の総量を削り合えよ。

 

 

夜の川は思った以上に真っ暗で、誰も僕のことを知らない京都の地に行くと、その暗さはより一層深く感じられた。ひとりぼっちであることに感動を覚えた。そしてもう間も無く、妄想も夢物語もない、現実に帰ることを否応なく実感させられた。

 

だけど僕は落ち込まなかった。また来ればいいだけだから。

良い旅でした。京都。

人間全員に必要な「逃げ場」。僕の京都もそうなったような気がします。