ミネラル足りてないんじゃない?って言う悪口

 

前回の続き。

 

書き忘れてたけど、平安神宮を中心にした「京都五社めぐり」というのがあるらしい。平安京を作る時に、桓武天皇が「四神相応」という風水の考え方を意識したらしい。平安神宮を中心にして、四方を守る神社を含めた五社を巡るといったもの。それ用の専用の色紙があったから購入してしまった。

今回の旅行の残り時間を計算した時、残りの4社を全て回るのは到底無理だった。2回目の京都一人旅確定演出自引きに1人でほくそ笑んだ。

 

続いて訪れたのは清水寺。流石に外せないと思った。終わりが見えない坂道と夥しい量の人、沿道に立ち並ぶ土産店。八つ橋。セーラー服。異国語。セーラー服。セーラー服。万歳。

あの坂道は中々に地獄を感じた。午前に降った雨もすっかり消え去って、10月らしからぬ太陽の近さ、加えて先述の人の多さ。それでも一度登ったら頂上も見ずに降りるのは男じゃないよ。「男はこうあれ」って言うの、基本的にめちゃくちゃ嫌いなんだけどね。

 

なんやかんや頂上に着いた。と思った。f:id:k_ame:20191016012024j:image

どうやら全然違うらしい。まだまだ飛び降りるには早いとの事だった。心折れた。おまけに境内は完全禁煙。喉が濁った空気を出したそうにしているのにも関わらず。

それでも頂上は空気が澄んでいて、気持ちよかった。紅葉はまばら、加えて一部工事中であったがそんなことは関係ない。上り切った先に見える京都の風景があれば全て些末な問題だった。緑の空気というものが本当にわかる気がする、そんな場所だった。

 

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因みに余談になるが、清水寺の近くには地主神社がある。ここは、恋愛の神様を祀っている事で有名で、修学旅行生もよく訪れるスポットだろう。スタート地点の岩から目を瞑って誰にも当たらずにゴールの岩にタッチすれば、恋が成就するらしい。僕も確か中学生の時に訪れた覚えがある。でもこういう年頃ってのは、しない男の方がカッコいいんだよ!なんて思ったり、味わった事ない種類の恥ずかしさを味わされるのを極端に嫌う、自意識の芽生えの時期だから、僕は無論やらなかった。

 

 

大学生になった今だから思う。あれは日本人の心遣い、忖度によって皆の恋が成就する事となるようだ。誰もわざわざ目を瞑って歩く人にぶつかろうとはしないからだ。まあかといって一人旅の僕がやるかどうかは別問題だし、結果的にやらなかった。

 

丁度僕が地主神社の参道に着いた時、女性が目を瞑って歩いていた。それに気付かない中国人女性。衝突。誤魔化し笑う両者。僕は頭を抱えた。

この女性は多分、そうやって誰かに奪われる恋路になるのか……と思ってしまった。だけど心身深さと盲目を履き違えちゃいけない。神様は頑張る人を見てくださっているだけだからね。

 

 

この時点で3時過ぎ、お昼ご飯を食べていないことに気づいた。南禅寺の側のお豆腐屋さんが余りに高くて断念したせいだった。

昼食といえばラーメン。これ大学生男子の常識ね。京都のラーメンといえば「下品」こと『天下一品』。そりゃもちろん他にも美味しいラーメンあるよーという人もいるかもしれない。だけど今は京都を味わせてくださいな。

 

 

そうして歩いていると見つけた。こってりにするか、こっさりにするか店頭で悩んでいると、背後からスッと高校生が入っていった。

「6人です」

僕は何も食べずに店を後にした。集団というのがとにかく怖くなった。そんなに店舗も大きくなかった。待たされることが確実になったことに、根が田舎者の僕は我慢ならなかった。

そして京都駅ビルに移動して、トンカツを食べた。美味しかった。地味に人生初カニクリームコロッケを食べた。作るの大変そうだなと思った。つけるソースはタルタルソースで合ってたのかな?

 

 

平安神宮の途中でとある知り合いから「京都にいるんですか?」と。そのメッセージが来るまで、彼が京都出身なことを忘れていた。

 

せっかくだからと会うことになった。僕はお腹がそこまで空いていなかったから、2人で軽く飲もうかという話に。

連れて行ってもらったのは裏路地の立ち飲み居酒屋。観光客には絶対に見つけられないような場所にあった。途中で観光客らしき外国の方が入ってきたけど。

 

ハイボールで乾杯。30km以上歩いた僕の体に沁み渡る炭酸、足が崩れそうになった。

つまみとして彼が頼んだのは「万願寺」とだけ書かれたメニュー。どうやら唐辛子らしい。メニューだけ見た段階で、僕は何もわからなかった。でも九条や賀茂と言った野菜の前に地名をつけることは流石に知っていた。地名で野菜を想起する京都人、すごいなあと思わされた。

 

万願寺は炭火で焼いていた。最初、取り出した時のサイズの大きさに驚いた。およそWiiリモコンくらい。僕は辛いものがそんなに得意じゃないし、なんなら唐辛子系は最も苦手だったため、少し焦った。地元民の「美味しい」に背中を押されて食べると、これがまあ美味しい。全然辛くない。炭火の香りとしっかりとした歯応えと辛味よりも野菜の甘味が強く、酒が進んだ。野菜っていいよね。

これ写真ないのおかしいよね、ごめんなさい。

 

その後も日本酒を飲み、大甘エビの刺身なるものを食べた。卒業してしまったアイドルの話や将来の話、好きなお酒の話。気楽に話せたのは間違いなく美味しいお酒と料理のお陰。ありがとう。

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気持ちよく酔いもまわり、案内してくれた彼とも別れ、ホテルへとチェックイン。

うーん、何もすることがない。テレビをつけると好きなクイズ番組がやっていたが、東京で5月くらいに放送されてるものだった。「ジャスコ」が「ジャスコ」になりたてだった。

 

この日の夜はよく覚えていない。やることもないせいでたくさんタバコを吸ったことと、意外と心が寂しくなかったことにショックを感じたくらいだった。

 

ただ自由に羽を伸ばし、気の赴くままに歩く。これぞ一人旅と言える内容に満足し、気づけば眠っていた。

 

2日目の朝。起きても相変わらず1人だった。

 

後編へ続く